オドロキの沖縄式披露宴~余興命の招待客~

オドロキの沖縄式披露宴~余興命の招待客~

沖縄の披露宴ウチナーニービチでは、前にお話ししたように芸達者な方たちが繰り広げるさまざまな余興が時間いっぱい行われます。
今回はそんな沖縄的余興の一部を紹介しますので、本土から参加される招待客様にはぜひ参考にしていただき余興で場を盛り上げてほしいと思います。

沖縄の披露宴ではだれが主賓?

通常披露宴の席で、主賓とは招待客のこと。そして新郎新婦はひな壇ですが、両家家族やご親族は末席へ卓を配置するのが常識ですよね。
そしてひな壇の横に設置された台で挨拶をいただき、余興者が歌を歌うなど招待客が楽しめるよう配置されています。
しかし、沖縄式披露宴でもしっかりと反映されているのですが、本土から列席したご両親からお叱りの言葉をなんどもいただいたのが、以下のような卓配置です。
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ひな壇の目の前がご両家席となっていることがお分かりでしょうか。
ひな壇に向かって左側が新郎側招待客、右側が新婦側招待客というも同じなのですが、ひな壇に近いほうが親族、会場中ごろが職場や両親知人関係者、もっとも末席側が友人となっているのです。本土から初めて来沖して初めて沖縄式披露宴に参加されたご両親としては、招待客が末席にいることが非常識だとして式前にフロントへお怒りの言葉をいただきます。
でも沖縄では余興のすべてがひな壇と対面していて末席の目の前に鎮座する、ドデカイ舞台で行われます。ということは、主賓である招待客に楽しんでもらおうということであれば舞台から最も遠い席、ひな壇前が末席と言えるのです。お怒りのご両親にはそのいきさつなどをお話しさせていただき、なんとか納得されるのですが首をかしげながら控室へお戻りになられる後姿は、スタッフとしていつも複雑な心境です。

伝統芸能の「かぎやで風」は主賓をもてなす祝いの舞

沖縄的披露宴の最初の余興として欠かせない琉球舞踊のかぎやで風は、昔から沖縄の祝いの席では欠かせない琉球舞踊の演目です。前回の話にもかぎやで風の昔話を乗せたのですが、またそれとは違う逸話が沖縄の地方紙である琉球新報で取り上げられていたので一部抜粋して紹介します。

「かぎやで風節の原歌の由来は1470年にさかのぼる。第二尚氏の始祖尚円王(金丸)が若く不遇だったころ、奥間鍛冶屋にかくまわれ、世話になったという。尚円が王位に就いた同年、世話になった恩から同鍛冶屋の次男正胤を国頭按司に取り立てた。正胤がその喜びを即興で詠んだのが原歌だという。
 原歌は「あた果報のつきやす/夢やちやうも見だぬ/かぎやで風のつくり/ぺたとつきやさ(思いがけない果報が身に付くとは夢にも見なかった。鍛冶屋で物を造る時のように風格がわが身にぺたっと付いた)」という歌詞。」(琉球新報 2011年10月19日付)

しかし現在歌われている歌詞は
「けふのほこらしゃや なをにぎやなたてる つぼでをるはなの つゆきやたごと」。意味は「今日のうれしさは何に例えようか つぼんでいる花が露にあたったようだ」となっています。まるっきり別の琉歌になっていて、五穀豊穣や子孫繁栄、航海の安全、公事公務の遂行、慶事などで歌われるようになりました。
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(Photo by (c)Nature-Free  http://nature-free.com)

ウチナーニービチにおける衝撃的かつ爆笑必死の余興

前述したようにかぎやで風は、ウチナーニービチでは最初に踊る余興です。
じつはこのかぎやで風は、新婦を迎える新郎側が執り行うことになっています。新郎家ご両親や姉妹、いとこといった親族、もし経験者がいなければ伝手を頼って琉球舞踊教室の先生にお願いして踊っていただく場合もあります。
その場合踊り手の方は出演が終われば片づけをされて帰られるのですが、来場する時間の開宴1時間前には来て、舞台の広さや音響をしっかり確認されて本番に臨みます。舞台裏には4帖ほどの控室が設けられている場合もあり、他の余興者とおしゃべりをしながら出番を待っていたりします。
余興で多いのは、やはりアイドルなどの集団でのダンスと歌でしょうか。
AKB48やキャリーぱみゅぱみゅ、ももいろクローバーZといったアップテンポの曲に合わせて、揃いの衣装を身につけてダンスを披露する新婦友人や会社の同僚たち。そんななかで異彩を放つのは新郎友人の余興です。
どうしても若い男性のみの余興というのは度を超えて面白くしようと力を入れすぎる感が強いですよね。なぜか下ネタ系やヨゴレ系に偏ってしまいます。できるだけ見る側が楽しく盛り上がる余興にしていただけたら、音響など裏方のスタッフ一同も全力で支えさせていただくのですがね。
最近増えてきたのは事前に余興をビデオで撮影・編集して当日は流すだけというビデオ型。新郎新婦の会社や母校、思い出の居酒屋や公園などに早朝集まり、怪しい衣装をつけてコントを撮る、それはあたかも地元の映画研究会が必至に撮影しているかのようです。
でも通りがかりにその撮影に気づいたとしても、たいていの地元民は「また余興用の撮影している」と気づくほどありふれた光景なのです。
私が担当した披露宴の余興でも、両家親族や会社が全面協力でビデオ余興が作成されていました。実家の新婦の部屋でニセ新婦とニセ新郎が寄り添う場面から始まり、学生時代や遊んでいたころ、就職して働いている姿などのスナップ写真を関係者から集めて編集し、思い出のビデオアルバム用に作成されていました。両家の実家でそれぞれの家族とともに食事をしている日常を再現され、プロポーズの場面も再現されており、おふたりとしてはなんとも恥ずかしい余興でした。
しかし最後は両家家族、友人、同僚、上司も全員でのお祝いメッセージが入っていて最後まで心温まる余興でした。列席できない関係者を中心にメッセージが撮られていて、新郎新婦としても一緒に楽しんでいるかのような一体感を感じさせてくれました。

最後に

アドバイザーとして新郎新婦に余興者への配慮などをアドバイスさせていただくとしたら、余興には必ずリーダーを3か月前には指名しておくことと、ヨゴレ系などは事前にくぎを刺しておくことをお勧めします。
リーダーを決めておけば余興の内容や練習などの監理を一元化して情報を得られることが目的ですが、あくまでも余興の内容は余興者に任せておきましょう。
せっかくの余興を事前にすべて把握しておくことはもったいないですよね。あと余興の内容によっては会場側から叱られてしまいますので、絶対に危険性のある内容のものは避けて、衆人の面前で余興が行われることを改めて忠告しておくようにしておいてください。またおふたりが会場側との打合せ時に気を付けておきたいことは、その余興で持ち込む物のリストを事前にアドバイザーへ伝えておくようにしてください。
余興時に流すビデオやCDやデータなどは、当日早めに担当へ渡して置き余興リーダーがスタッフと一緒に確認作業を行えるよう来場時間などを打合せしておいてください。
スタッフも大概のことは経験していますが、持ち込んだビデオが長時間かかることや会場でビデオとは別にダンスも含んだ余興であるなどさまざまな演出を考えてこられてくるはずだと考えています。
ですからその内容や所要時間などを細かく打合せしておき、開宴前に舞台上でリハーサルもできる場合もありますのでそれを踏まえて余興者に打合せをしておくよう伝えておきましょう。

この記事を書いた人

bobo

著者 : ドルフィンポポ

沖縄の結婚式場にブライダルアドバイザーとして数百組を担当。4年務めた経験から友人・知人の披露宴の幹事を担当することも。現在はWebライターとして沖縄を拠点に仕事をしています。


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